きみのヴィトンはボディービルダー
コンクリートにつつまれた
表参道の裏道の
ネオンに光るレストランの
椅子に乗せられたモノグラム
きみのヴィトンはボディービルダー
旅にも行けないルイヴィトン
長い時間をかけていても
黄金の瞬間を楽しませはしない
いやしいきみのボディービルダー
いつになったらポーズをやめて
自由に四肢を動かすのか
飼いならされた筋肉よ
その時平穏は断たれた
嵐が来たのだ、波が高くなる
雷は近いか、ショーウィンドウが割れる
木々が抜けて通りを歩く人を押しつぶす
きみも例外ではない
風によろめいて
逃げ場を求めている
かばんなど置いて走るのだ
その頃どうなっているかは分からない
だが、母の元を離れたのだから
自分の人生を送るのだろう
ボロボロになって、くたびれても
雨に濡れて、泥に塗れても
気取った格好のきみより好きだよ